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週刊エコノミスト Online 書評

歴史書の棚 世界で最も危険な国には豊かな古代世界があった=本村凌二

 1970年代にアフガニスタンを旅した友人が言っていたことが心に残っている。「貧しい国だが、あんなにのどかで穏やかな国はなかった」という。それが70年代末期のソ連軍の介入以後、平和のかけらもないような国になってしまった。もちろんアメリカにも責任があり、大国のエゴが弱小国家の運命を左右する事例の典型だろう。

このアフガニスタンは古代にはバクトリアと呼ばれたが、前田耕作『バクトリア王国の興亡』(ちくま学芸文庫、1200円)は世界史における「ヘレニズムと仏教の交流の原点」をよみがえらせる歴史書である。東の中国文明には西辺、南のインド文明には北辺、西のイラン文明には東辺にあたるバクトリアはまさしくアジアの臍(へそ)にあたる。

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