第27回 地域商社に必要な専門人材 いわき信組が越えた壁/下=浪川攻
有料記事
地域商社の設立への準備を進めていたいわき信用組合は、それにふさわしい専門人材の発掘という段階になって足踏みを余儀なくされた。農林水産業、食品メーカーなどとの連携による6次産業化に精通した中小企業診断士などの専門家は、同市内に見当たらなかった。そのとき、江尻次郎理事長の指示から1年半超が過ぎていた。
ところが、2016年11月、事態は急展開する。東京からいわきに移住した一人のIターン事業者が同信組を訪れたのが、その始まりである。この人物は中小企業診断士で事業コンサルタントを営む植松謙氏。植松氏はいわき市の林業振興に向けたコンサル事業に取り組み、その助成金受け取りなどのために、いわきユナイト社を設立。が、助成金は自前資金の投資のあとに見合いで支払われる。そこで、植松氏は同信組につなぎ資金借り入れの相談に訪れた。
もちろん、同信組は融資を実行したが、それだけで終わらせず、彼の活動とその考え方をヒアリングすると、まさに6次化事業者と連携した地域商社の原型といえるプランを同氏は練り上げていることがわかった。意中の人物が現れたのだ。植松氏は同信組の勧めに応じて、翌年2月開催の「いわきビジネスプランコンテスト」に参加し特別賞を受賞。
残り769文字(全文1287文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める