週刊エコノミスト Online書評

『小さな会社が世界で稼ぐ 高収益をもたらす「情報の輪」』 評者・後藤康雄

     グローバル化の進展も、分野によって濃淡がある。ビジネス界でいえば、大企業は海外と直接的なつながりを強めているが、中小企業や個人事業主にとって今なお海外の敷居は高い。本書は、海外市場を中小事業者の大きなビジネスチャンスの場ととらえ、展開を後押しするビジネス書である。

     わが国の中小企業の多くは生産性が低い、というのは定説になっている。その理由はさまざまな角度から語られているが、本書はまず経営に必要な「情報」という観点から全体の状況を整理する。大企業より情報の量や幅が限られていることが、中小企業のイノベーションの余地を狭め、生産性向上を妨げている。したがって、解決に向けた王道は何らかの形で情報を取り込んでいくこと、というのが著者の基本スタンスである。

     しかし、国内においてすら、価値ある情報の輪に入り込んでいくには相当な努力と工夫を要する。海外ともなると、さらに難易度は上がってくる。中小企業の海外展開が難しい最大の理由の一端がここにある。しかし、これに対する著者の回答は意外なほどシンプルだ。自力では難しいだろうから、外国企業の力を借りればよい。先方と自社の双方が利する「ウィンウィン型」の連携が有効と説く。

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