週刊エコノミスト Online 2040年の社会保障を考える
介護保険と障害者福祉制度の一本化を=石川誠
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2000年に介護保険制度が施行されてから、高齢者福祉サービスは飛躍的に改善したが、必ずしも十分とは言えない側面もある。私は、身体障害、知的障害、精神障害者などと高齢の要介護者などは一体的に支援すべきであり、そのため、現在の介護保険制度と障害者福祉制度は一本化すべきと考える。現在の障害児者も年を重ねれば高齢者になり、年齢や疾患による現在の区分には違和感がある。多くの異論があることは承知しているが、それは介護保険サービスを抑制する方向に進んでいることから、一本化すれば障害福祉サービスの低下を招くという懸念が大きいからと思われる。世の中が、地域包括ケアから地域共生社会へと踏み出そうとしている現在、介護保険の支給限度額を見直すなど介護保険制度の諸条件を改善した上で、一本化へと議論を進めることを期待する。
今、世界の主要国の潮流として、障害者が健常者と分け隔てなく働き、共生する社会作りがある。国連は06年12月の総会で、障害者への差別撤廃や障害者の社会参加促進を目指すため、「障害者の権利に関する条約」を採択した。世界には6億5000万人の障害者がいると言われているが、既に、北欧、英国、フランス、ドイツなどで障害者と健常者が共生する社会作りが進んでいる。
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