週刊エコノミスト Online 2040年の社会保障を考える
厚生年金の適用対象者の拡大を=駒村康平
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2019年の公的年金の財政検証では、モデル世帯(夫婦2人)の年金の給付水準を示す所得代替率(現役男子の平均的な手取り年収に対するモデル世帯の年金額の割合)が、将来にわたって国民年金法で定められた50%を維持できるかに注目が集まった。
現役世代が年金生活者を支える「賦課方式」の日本では、人口減少を見据え、04年の年金改革で「マクロ経済スライド」が導入された。これは、現役世代の負担を増やさないため、1人当たりの年金水準を自動的に減らす仕組みだ。具体的には、毎年の物価上昇率から約1%引き下げた分しか年金額を増やさない。適用が続く間は、実質的な年金水準は低下する。
19年の財政検証では、29年以降の実質経済成長率が年0・4%となる「ケースⅢ」で、所得代替率は19年度の61・7%から年々低下し、47年度以降は50・8%まで下がるものの、50%を上回る見通しとなった。
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