新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online 書評

『AI時代の労働の哲学』 評者・加護野忠男

著者 稲葉振一郎(明治学院大学教授) 講談社 1600円

AI導入を契機に自明視される世界観を問う

 人間の知的な判断に依存してきた諸分野でAIの導入が進められている。判断の自動化が進められているのである。このようなAIが知的な労働の分野で人間の存在意義を奪ってしまうのではないかという不安を抱く。囲碁や将棋の分野でAIが人間の達人に勝ったという報道を見ると、不安はますます強くなる。

 本書は、AIの導入によって労働がどのように変わるかを大きく深く考えようとした著作である。現代の労働についての問題は、資本主義とのかかわりで議論されることが多かった。本書ではまず、資本主義における労働についての議論を振り返り、つぎにAIが資本主義にどのような変質をもたらすかを論じ、それをもとにAI化がもたらす労働の変容を考えようとしたものである。本書は資本主義における労働の本質についての古典的な議…

残り754文字(全文1144文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事