週刊エコノミスト Online書評

今後警戒するべきは右傾化より分極化=井上寿一

 リベラル勢力は安倍(晋三)長期政権下で日本の「右傾化」が進んでいると批判する。本当だろうか。考える手がかりを求めて、塚田穂高編著『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書、1800円)を読む。多様な分野の専門家による共著の本書は、「右傾化」しているか否かに評価の強弱があるものの、いくつかの有益な知見を提供している。なかでも安倍政権の支持母体である日本会議の影響力を客観的に分析している論考が注目される。別の言い方をすれば、陰謀史観では日本政治の現状を正確に分析することはできないだろう。

 次に田辺俊介編著『日本人は右傾化したのか』(勁草書房、3000円)の議論が注目に値する。本書は2009、13、17年に実施した三つの社会調査のデータ分析に基づく共同研究の成果である。

残り561文字(全文895文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事