週刊エコノミスト Onlineワイドインタビュー問答有用

恐竜発掘のスペシャリスト=小林快次・北海道大学総合博物館教授/767

    「子どものころは勉強が大嫌い。親にも15分以上、机に座っているのを見たことがないとあきれられました」 撮影=竹内幹
    「子どものころは勉強が大嫌い。親にも15分以上、机に座っているのを見たことがないとあきれられました」 撮影=竹内幹

    恐竜の化石を数多く発見し、「ファルコン・アイ」(ハヤブサの目)との異名も持つ小林快次さん。「日本の恐竜研究史上最大の成果」ともなった新種恐竜の全身骨格を発掘した。

    (聞き手=冨安京子・ジャーナリスト)

    小林 カムイサウルスは2003年、かつては海だった白亜紀後期の地層・函淵(はこぶち)層(約7200万年前)から見つかった通称「むかわ竜」のこと。13年から本格的な発掘を始め、翌年ほぼ全身の骨格化石を見つけました。その後、4年余りをかけて膨大な量の骨のクリーニング(岩から化石を取り出すこと)作業を進め、比較研究と系統解析の結果、下顎(あご)、頰の骨、背骨の3カ所の骨の構造が明らかに他の恐竜と違うことなどから新種と同定しました。

    小林 カムイとはアイヌ語で「神格」を意味しますし、発掘地が北海道、また日本であることがすぐにイメージできるような命名にしたかった。調査に関わった多くの人から名前の候補が挙がり、選抜に残った五つほどから最終的に僕が中心になって選びました。命名の日は、むかわ町も襲われた最大震度7の北海道胆振東部地震から1年目の日ともピタリと重なり、カムイサウルスが町や北海道の復旧・復興・発展の様子を一緒に見守ってくれる気がします。また、その実物が初めて町を出て、東京・国立科学博物館で展示されることになり(「恐竜博2019」7月13日~10月14日)、すべてが奇遇としか言いようがありません。

    小林 日本では8番目となる恐竜化石の発見ですが、カムイサウルスは推定全長8メートル、重さは二足歩行の場合4トン、四足歩行なら5トン、222個の骨からなる頭から尻尾(しっぽ)までの、ほぼ完全な全身骨格化石という点が日本初。何より、世界レベルの恐竜の化石標本が、日本でも発掘された意義はすごく大きいのです。推定年齢は9~13歳で性別はまだ不明、細い前脚と頭部には薄く平たいとさかを持ち、ずんぐりむっくりの体に丸く平べったい口を持つ、僕には何とも愛らしい顔に見えます。

     今回の発見は行動パターンや二足歩行か四足歩行か、トサカは異性にアピールする際のディスプレーなのか否かなど、詳しい生態を知るきっかけとなるし、海外の恐竜との比較分析もできるようになりました。ロシア、アジア、北米ですでに見つかっているハドロサウルス科の恐竜の近縁で、ある時期以降、ケルベロサウルス(ロシア)やライヤンゴサウルス(中国)といった仲間の恐竜たちと極東地域に隔離され、独自の進化を遂げたと推定…

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