週刊エコノミスト Onlineワイドインタビュー問答有用

地域の宝に捧げた半生=三膳時子・NPO霧多布湿原ナショナルトラスト前理事長/769

    撮影=佐々木 龍
    撮影=佐々木 龍

     北海道浜中町に広がる霧多布(きりたっぷ)湿原。夏には百花繚乱(りょうらん)、多種多様の高原の花々が湿原を埋め尽くす。この湿原の土地を買い取る活動を19年間続けてきたNPO(非営利活動法人)の理事長を9月に退任した三膳時子さんが、その歩みを振り返る。

    (聞き手=冨安京子・ジャーナリスト)

    三膳 北海道の釧路市と根室市のちょうど中間あたり、浜中町にある太平洋に面した長さ9キロ、奥行き3キロの湿原です。初夏にはミズバショウ、夏は白いワタスゲ、黄色のエゾカンゾウや紫色のヒオウギアヤメが花を咲かせ、エゾリンドウの紺色が湿原を埋め、ススキの穂が夕日に鮮やかに染まれば、あぁ秋が深まってきたなと季節を感じます。札幌市から約350キロ、足の便もあまりよくないところですが、湿原の真ん中に立って花々のじゅうたんを眺めていると、本当に心が安らぎます。

    三膳 夏には湿原の中でタンチョウヅルが子育てする姿、冬にはキタキツネやエゾシカなどを頻繁に見かけます。湿原の真ん中あたりには、植物が長い年月をかけて蓄積した泥炭の上にさまざまな植物が生育する「霧多布泥炭形成植物群落」もあり、1922年に国の天然記念物に指定されました。アシが何万年もかけて何層にも重なった「ヤチボウズ」は、坊主頭のような形がとてもユーモラス。ぜひ見てほしいですね。

     霧多布湿原の西にあるビジター施設「霧多布湿原センター」からは、東側へまっすぐな「MGロード」が海岸に向かって伸び、珍しい植物や湿原の眺めを楽しめます。霧多布湿原センターは1993年、浜中町が建設し、湿原を一望できる展望ホールやカフェ、展示施設などもあります。NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト(NT)は2005年4月から、指定管理者としてセンターも運営しているんですよ。

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