新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

『隠された奴隷制』 評者・浜矩子

著者 植村邦彦(関西大学教授) 集英社新書 880円

資本主義的生産体制こそベールをかぶった奴隷制度

 恐ろしい本である。その恐ろしさの本質が次のくだりに凝縮されている。「自分自身が『奴隷』であることに気づいていない『奴隷』。主観的には自分は『最大の自由』と『個人の完全な独立性』を享受していると思っている『奴隷』。」

 この自覚症状なき奴隷たちは、資本主義の展開過程の中で産み落とされた。工場労働者としての彼らの誕生プロセスとその生態を、歴代の啓蒙(けいもう)思想家たち、そしてカール・マルクスが論じている。論者たちの分析と主張を徹底追跡しているのが、本書だ。その意味で、本書は思想史本である。

残り862文字(全文1157文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中郁次郎 一橋大学名誉教授「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化■大垣昌夫23 Q&Aで理解す [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事