週刊エコノミスト Online闘論席

片山杜秀の闘論席

撮影 二村祐士朗
撮影 二村祐士朗

 新宿御苑は元は皇室苑地だった。そこでは、日中戦争が始まるまで、春には観桜会、秋には観菊会が、天皇を主人役とし、限られた招待客を相手に毎年行われていた。

 戦争が終わって、これら天皇の園遊会は復活したか。そうは問屋が卸さなかった。天皇の戦争責任を問う声は内外で高まった。

 占領軍総司令部はというと、民主主義を目に見える形で表現したかった。そこで目に留まったのが皇室苑地だったろう。それを日本の人民に開放する。1947(昭和22)年12月、新宿御苑は政府直轄の国民公園になった。

 旧時代の新宿御苑を象徴したのは、春秋の天皇の花見。それもまた国民の花見に変わるのがよい。新宿御苑では49年から、国民向けの観菊会が開かれた。日本の独立回復が目前の52年春からは、首相をホストとする「桜を見る会」も始まった。民主主義国の公的花見は、天皇でなく首相が前に立って催されるべきとの思想の表れだろう。

残り393文字(全文784文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月3日号

金利ある世界18 長期金利の居場所の探り合い 10年国債が主役に復活する日■稲留克俊21 絶えざる資産インフレとデフレ■水野和夫22 ドル・円 米金利上昇で景気失速、金利低下 1ドル=130円の円高を目指す■吉田恒24 日本株 企業に生じた「インフレ利得」 「マイナス金利」が追い風に ■黒瀬 浩一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事