教養・歴史書評

『ビッグミステイク レジェンド投資家の大失敗に学ぶ』 評者・平山賢一

著者 マイケル・バトニック(リソルツ・ウェルス・マネジメント調査部門ディレクター) 訳者 鈴木立哉 日経BP 1800円

バフェットも、トウェインも挑戦と反省を知るストーリー

 金融界を代表するスタープレーヤーの失敗を並列的に紹介した本だ。なぜ失敗したかを突き詰めるのではなく、成功者も失敗の経験を経て、どのように成功の糧にしたかに焦点を定めている。時々名前を耳にする投資家のウォーレン・バフェットだけではなく、実に多くの主役がいたことに驚かされるとともに、レジェンドと呼ばれる大投資家も失敗していたという事実は、多くの個人投資家にも勇気を与えるだろう。

 たとえば、『トム・ソーヤーの冒険』を書いたマーク・トウェインが、これほどまでに投資にのめりこみ、失敗の連続に打ちのめされたことは、あまり知られていない。彼のシニカルな珠玉の言葉の数々は、失敗の中から得られたものだったのだ。まさに「10月ほど株式の投機にとって危険な月はない、といっていい。それ以外に危ないのは、7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、そして2月だ」との言葉は…

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