教養・歴史書評

『原子力時代における哲学』『観光ブランドの教科書』『年金「最終警告」』『水道が危ない』

『原子力時代における哲学』 國分功一郎著 晶文社 1800円

 3.11の原発事故以降、脱原発論が広がる。哲学者の著者は、リスクやコストの問題の先で問う。人間が原子力技術に引かれるのはなぜか。着目したのはハイデッガーだ。第二次世界大戦後、核兵器反対論と「原子力の平和利用」肯定が共存する中、この哲学者はいち早く核技術の危険性を指摘していた。原子力信仰の内実とは、何にも依存せず完全に自立したシステムへの渇望であり、しかしそれは不可能だと認めてこそ脱原発に行き着くという思索は誠実だ。(A)

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