教養・歴史書評

『統計分布を知れば世界が分かる 身長・体重から格差問題まで』 評者・高橋克秀

著者 松下貢(中央大学名誉教授) 中公新書 800円

統計学的思考駆使し格差の構造を明確に分析

 所得格差の拡大は世界的な現象である。その最前線にある米国では、超富裕層に対する課税強化が大統領選の争点になりつつある。賛成派は公平、平等、正義の観点から超富裕層への課税強化は当然だとする。反対派によれば課税強化は反資本主義であり、成功者に対する妬みであり、個人の努力と才能を無視しているという。この論争は個人の価値観や世界観に関わるため言語空間の中だけでは容易に結論はでない。

 超富裕層に対する課税の根拠は何か。本書は物理学の立場から目の覚めるような一撃を与えてくれる。一部の者に異常に富が集中することは、自然法則に反している。それはデータの「分布」の形状から明確に判断できる。

残り804文字(全文1140文字)

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