新卒依存の採用から脱却を=石田潤一郎
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「寛容」な環境が起業を促す
バブル崩壊以降、日本経済の停滞が続いている。長期低迷の原因は複合的で、何か一つの要因に帰することはできないが、今回はその中でも日本経済の労働市場慣行に着目し、今後の課題について検討したい。
表は日本と米国の企業の時価総額ランキングの上位10社を示したものだ。日本の上位には通信インフラの企業が非常に多いことが分かる。また、上位30社あたりまで見ると金融機関も多く含まれている。これらはいずれも規制産業に属しており、海外企業との競争にあまりさらされていない企業だ。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめとした世界経済をけん引する新興IT企業が多く名を連ねる米国とは対照的だ。
こうした構造の違いは、日本経済が抱える問題点を端的に表している。インフラ企業や金融機関は、経済規模が拡大するにつれてその需要が自然に増大する産業だ。こうした企業は経済の潤滑油にはなっても、それ自体が経済規模を拡大する原動力とはなり得ない。エンジンを変えずに潤滑油だけ投じても車の性能が上がらないのと同じだ。
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週刊エコノミスト
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