教養・歴史書評

セクシュアリティー本 2019年の収穫=荻上チキ

    ×月×日

     エリザベス・ブレイク『最小の結婚』(久保田裕之監訳、白澤舎、4200円)、濱野ちひろ『聖なるズー』(集英社、1600円)、ジュリー・ソンドラ・デッカー『見えない性的指向 アセクシュアルのすべて』(上田勢子訳、明石書店、2300円)。この3冊は、今年読んだ本の中で群を抜いて面白かった。いずれもジェンダー、セクシュアリティー関連の怪作で、アプローチや言及対象は異なるが相互に折り重なっている。

     ブレイクは哲学的アプローチにより、従来の結婚論議が異性愛者による一対一の排他的な性愛関係が中心的で、それを善きものとする「性愛規範性」を含んできたことを指摘し、そのような価値に基づいた結婚制度は、さまざまな差別を肯定してきたと喝破する。同性愛差別については、近年多くの議論が重ねられてきた。他にも、人は誰でも結婚すべきだというシングリズム(独身者差別)は、恋愛感情を抱かないアセクシュアル(無性愛)…

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