市川明代/吉脇丈志
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編集部から
大学発ベンチャーの特集で、理系の起業家たちを取材した。話が面白くて、ぐいぐい引き込まれた。そしてふと思う。そういえば私も理工学部出身だったはず……。
1990年代半ば。バブルがはじけ、キャンパスには重苦しい雰囲気が漂っていた。みんな進路に悩んでいた。技術者だった父が「学生時代に成績が悪くて銀行に就職したやつが、自分よりいい給料をもらっている」と愚痴るのを聞かされた。物理と数学が好きで理工学部に進んだものの、若さゆえのおごりから、「技術者になってもいいことなんかない」と、その道には進まなかった。
「技術で人の役に立ちたい」。今回の取材で何度もこの言葉を聞いた。そんなこと考えもしなかったなと、若い頃の自分を恥じ、ちょっぴりうらやましくもなった。人の役に立てなかった理系の端くれとして、彼らの挑戦を応援したい。
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週刊エコノミスト
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