週刊エコノミスト Online編集後記

稲留正英/桐山友一

編集部から

 カルロス・ゴーン氏のレバノン逃亡で、日本は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。確かに、ゴーン氏の行動は言語道断で看過できない。しかし、ここは冷静になるべきではないか。カギは日本の司法制度と特捜検察を切り離して考えることにありそうだ。

 警察の捜査の場合、捜査の合法性、証拠の十分性を検察がチェックする。だが、特捜検察は自ら捜査し、起訴もする。だから、内部統制の観点から冤罪(えんざい)を防止する機能に大きな問題をはらんでおり、それは郵便不正事件で明らかになった。

 帝国陸軍無き今、首相も逮捕できる特捜検察は日本最強の権力集団だ。戦前の日本は、天皇の統帥権に服さない関東軍将校の「突出」により国際社会から孤立し、滅亡の道を歩んだ。ここは、一つ歴史から冷静に学ぶ必要がある。司法制度においても、人権を侵害するものがあれば、正すべきだ。

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