週刊エコノミスト Online編集後記

稲留正英/桐山友一

編集部から

 カルロス・ゴーン氏のレバノン逃亡で、日本は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。確かに、ゴーン氏の行動は言語道断で看過できない。しかし、ここは冷静になるべきではないか。カギは日本の司法制度と特捜検察を切り離して考えることにありそうだ。

 警察の捜査の場合、捜査の合法性、証拠の十分性を検察がチェックする。だが、特捜検察は自ら捜査し、起訴もする。だから、内部統制の観点から冤罪(えんざい)を防止する機能に大きな問題をはらんでおり、それは郵便不正事件で明らかになった。

 帝国陸軍無き今、首相も逮捕できる特捜検察は日本最強の権力集団だ。戦前の日本は、天皇の統帥権に服さない関東軍将校の「突出」により国際社会から孤立し、滅亡の道を歩んだ。ここは、一つ歴史から冷静に学ぶ必要がある。司法制度においても、人権を侵害するものがあれば、正すべきだ。

残り1093文字(全文1463文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月13日号

電力が無料になる日 NTT、東電、トヨタが拓く未来14 NTT、東電、トヨタの共闘 捨てる再エネは「宝の山」■金山隆一18 インタビュー 森島龍太・電池サプライチェーン協議会業務執行理事「電池は国家のエネルギー戦略そのもの」19 電池のリユースは自動車業界の命綱■藤後精一20 EV電池の送電接続こそ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事