台風19号被害 限界寸前だった都心の治水 対策は流域全体で=橋本淳司
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2019年は29個の台風が発生し、このうち5個が日本に上陸した。特に列島に甚大な被害をもたらした台風19号について検証し、今後の対策を考えたい。
国土交通省によると台風19号では、豪雨で川の堤防が壊れる「決壊」が7県、71河川、140カ所で発生。川の水が堤防を越える「越水」は16都県の延べ285河川で発生した。都内の被害は多摩川流域の7カ所にとどまったが、実は限界に近い場所が多数あった。
台風19号の雨量は上陸前、首都圏で1時間に80ミリ超と予想されたが、実際には50ミリ以内の雨量にとどまった。それでも河川の水位を下げるために水をため、下流の東京近郊などで氾濫しないように建設された各地の大規模な調節池、遊水地が、総貯留量の9割に達していた。もし予想通りの雨量だったら、多くの場所で浸水被害が発生しただろう。また、同規模の台風が間隔を空けずに連続して上陸していたら、増水した上に雨が降…
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週刊エコノミスト
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