教養・歴史書評

『いのちの森づくり 宮脇昭 自伝』 評者・新藤宗幸

     東日本大震災の発災からまもなく9年である。筆者が大津波に見舞われた宮城県岩沼市の調査に入ったのは、2014年だった。当時の井口経明市長は、「千年希望の丘」に案内し、「宮脇昭先生のご指導で緑の防潮堤ができるのです」と誇らしげに語った。著者が提唱する「緑の防潮堤」は長年の潜在自然植生(土地本来の植生)の研究に基づく。

     岡山県の山村の農家に生をうけた著者は、県立新見農林学校、東京農林専門学校(現東京農工大学)を経て広島文理科大学(現広島大学)を卒業する。そして横浜国立大学学芸学部(現教育学部)の助手に就くとともに東京大学大学院に通う。横浜国大助手となった著者は全国の雑草群落の現地植生調査に挑む。そのなかでホウキギクというキク科の植物は水中でも陸上でも生えることを知る。東京大学理学部教授の示唆をうけてまとめた論文…

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