教養・歴史書評

曹操とはいかなる人物か 評判の小説、邦訳発売=加藤徹

 中国史では、60年に一度の庚子(かのえね)の年は天下大乱になるという不吉なジンクスがある。1840年、アヘン戦争勃発。1900年、義和団の乱と8カ国連合軍の北京占領。1960年、大躍進政策の失敗で餓死者数千万人。2020年は……平穏な一年になることを願う。

 今から1800年前の西暦220年の庚子の年、『三国志』の英雄・曹操(そうそう)が死に、後漢から魏(ぎ)へ王朝が交代した。曹操は、私欲に走った希代の悪人か、文明の再建を志したヒーローか。今も評価は分かれる。

 王暁磊(おうぎょうらい)著、後藤裕也監訳、岡本悠馬訳『曹操 卑劣なる聖人』第一巻 (曹操社、2400円)と第二巻(同上)は、中国で「曹操本人が読んで納得するであろう唯一の小説」と評判となった歴史小説の日本語訳である。全10巻に及ぶ原著の、最初の2巻分である。

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