片山杜秀の闘論席
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暗国と呼ばれた国があった。半島のへりの島国で、島の中で争いごとばかりしていた。文明も文化も半島よりも遅れがちだった。
しかし、僥倖(ぎょうこう)が訪れた。半島は大陸と、陸路や内海のルートでつながっており、多くの富がその上で動いていた。だが、半島と大陸の途中を塞ぐ、巨大かつ敵対的な帝国が出現した。お金も物も動きにくくなった。半島は困る。世界と改めてつながるには外海に海路を開くしかない。
ついに暗国の出番が来た。何しろ半島の端の外海側の島国なのだ。海と船に強い。ライバルを押しのけながら世界を制した。だが、半島と戦乱を繰り返しているうち、海の向こうの新大陸の巨大国家に繁栄をさらわれた。
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週刊エコノミスト
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