教養・歴史書評

「民」と「官」に分断した中国社会を説き明かす=加藤徹

 映画も書籍も、シリーズは第2作が勝負だ。岩波新書の「シリーズ 中国の歴史」第2巻として刊行された丸橋充拓『江南の発展 南宋まで』(820円)は、読者をぐいぐいと引き込む面白い本だ。

 本書は、地域的には「船の世界」である中国の東部・南部を中心に、中国社会が「民の世界」と「官の世界」にダイナミックに分かれた過程を説き明かす。内容は深いが、文章は明晰(めいせき)で分かりやすい。

 中国社会の特異性とは何か。社会の「中間団体」が「法共同体」としての自律性を持たぬことだ。

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