教養・歴史書評

『日本のセーフティーネット格差 労働市場の変容と社会保険』 評者・柳川範之

    「国民皆保険」はわが国の誇るべき特徴だとされてきたが、実際にはたとえば2割にのぼる国民健康保険の未納者がいる。「皆保険」から漏れ落ちてしまっている人たちに対してどう対処すればよいのか。これが冒頭でも語られている、本書の大きな問題意識だ。

     社会保険の未納問題がなぜ生じているのか、そして未納がなぜ問題なのか。生じている理由はいろいろ考えられるし、未納の帰結も、年金と健康保険とでは異なる。そのため、漠然とは考えていても、その詳細を答えるのはなかなか難しい。

     本書は、制度の丁寧な説明と、具体的なデータや実証分析結果を用いて、短絡的な議論ではなく、むしろ慎重すぎるくらいの丁寧さで、これらの問題に切り込んでいる。

    残り853文字(全文1157文字)

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