週刊エコノミスト Online闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 大西岳彦
撮影 大西岳彦

 TVゲームやSNS(交流サイト)などのデジタル技術は脳に悪影響があるだろうか。ゲームで遊ぶことで認知能力が高まるとするデータもあれば、SNSの台頭とともに若者のうつ傾向が強まったことを示すデータもあり、専門家の間でも統一的な見解は得られていない。オレゴン大学のニック・アレン博士は2月の『ネイチャー』誌の論説で「デジタル技術の是非を問うのは自動車が運転者を事故死させうるかを問うのに似ている」と問題設定の不備を指摘している。

 なかなか結論の出ない混沌(こんとん)とした議論から、私はひどい悪影響はないと判断している。この判断は、私自身がゲームと共に育った世代でもあり、一種の自己弁護かもしれない。というのは一つだけ指摘しなくてはならない注意点があるからだ。デジタル技術への嗜癖(しへき)性である。

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