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週刊エコノミスト Online 闘論席

片山杜秀の闘論席

撮影 小川昌宏
撮影 小川昌宏

 人は株をなぜ買うか。上がると思うからだ。将来への期待だ。来週、来月、来年、この企業はどんどん業績を伸ばすだろう。そう信じられるから株式投資ができる。投資に大切なのは未来だ。未来に希望を持てなくては、投資の理由もなくなる。当たり前だ。

 この当たり前があっさり崩れることがある。例えば、ある程度の死亡率があり、治療法も分からぬ疫病がはやるときだ。明日の命を心配しているのに、明後日の利益の話をされても響かない。

 そういう際でも、中央銀行が貨幣供給量を増やせば、株式市場が安堵(あんど)し、暴落を抑制できると、信じる人もいる。はて、その信仰を支える理屈は何か。経済学者、西山千明は次のように説明した。人間の欲望は貨幣に担保される。欲望が強いのに、それに見合った多量の貨幣が出回っていなければ、欲望の行きどころはなくなり、経済が縮む。逆に貨幣を氾濫させると、欲望は水を得た魚のようになり、人の経済行動は最大化してゆ…

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