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教養・歴史 書評

『実践 幸福学 科学はいかに「幸せ」を証明するか』 評者・後藤康雄

著者 友原章典(青山学院大学教授) NHK出版新書 850円

客観的な学術研究として人類最大の関心事に迫る

 私たちは日々何を目的に生きているのか。富や地位といった社会的価値を追うこともあれば、愛する人との絆や自らの興味など個人的価値を求めることもある。ただいずれにせよ最終的に重要なのは、いかに幸せになるかだろう。本書はそうした人類の究極の目標といえる「幸福」に自力でたどり着くための、現代科学が指し示す見取り図である。

 幸福の実現という最大テーマはこれまであらゆる角度から語られ、書物としても世に出されてきた。本書がそれらと明確に一線を画すのは、客観的な学術研究としての「科学」を根拠にしている点である。ここでいう科学には、社会科学、人文科学、医学など幅広い領域が含まれる。類書と比しても、カバーする先行研究の数、範囲の広さ、体系性という点で抜きんでている。

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