貿易 中国は輸出激減も輸入安定=藻谷俊介
これまで新型コロナウイルスが世界貿易に与える影響が論じられる際には、中国での生産停止がサプライチェーン破断を通じて世界の貿易量を引き下げることに懸念があった。しかし2月末から感染は先進国を中心に世界問題化し、消費者にもパニックと言ってよい状況を作り出してしまった。もはや世界貿易への影響は工業生産活動に限った部分的な考察ではなく、世界経済全体の需要と供給で考える必要性が生じてきたと言える。もちろん、それは前にも増して難しい。
ただ、こうして発想を変えることで、まず最初に分かってくることがある。それは悪化のパターンだ。仮に中国での生産阻害というモデルで考えるなら、悪化は最初が一番深く、時間の経過とともに対策や代替生産が進んで改善していく「レ字型」パターンとなる。震災などの自然災害で見られるパターンもこれと同じで、経験的に横幅(期間)は半年以下で済む。
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週刊エコノミスト
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