週刊エコノミスト Online編集後記

浜田健太郎/大堀達也

編集部から

「チャレンジだ」「ストレッチしろ」。粉飾決算を主導した東芝の旧経営陣は外来語を連発した。正しく翻訳すると「不正を恐れるな」「収益を水増しせよ」だ。日本語で言うわけにもいかず、“英語の浄化”が必要だったのだろう。

 日本社会には外来語や頭字語があふれている。「エンゲージメント」(働きがい)、「ダイバーシティー」(多様性)、「SDGs」(持続可能な開発目標)など。概念は立派でも母語で咀嚼(そしゃく)しないと本末転倒になる。かつて東芝は、コーポレートガバナンス(企業統治)先進企業と称賛された時期があったのだ。

 新型コロナウイルスをめぐっても外来語が多用されている。「クラスター」(感染者集団)、「オーバーシュート」(感染者の爆発的急増)、「ロックダウン」(都市封鎖)など。言葉を生業(なりわい)とする者ならば、為政者の意図に神経を研ぎ澄ます必要がある。

残り1116文字(全文1496文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月3日号

金利ある世界18 長期金利の居場所の探り合い 10年国債が主役に復活する日■稲留克俊21 絶えざる資産インフレとデフレ■水野和夫22 ドル・円 米金利上昇で景気失速、金利低下 1ドル=130円の円高を目指す■吉田恒24 日本株 企業に生じた「インフレ利得」 「マイナス金利」が追い風に■黒瀬浩一27 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事