新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

『国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来』 評者・平山賢一

著者 岩村充(早稲田大学教授) 新潮選書 1400円

国家、企業、中央銀行を分析、中間層崩壊=格差拡大を読み解く

 本書の課題は、「通貨とは何か?」の探求にとどまらない。グローバリズム時代に、外国企業の誘致や産業育成のため、減税や労働基準・環境基準緩和などを競う、いわゆる「底辺への競争」を繰り広げる国家と、人々が何に関心を抱くかについて支配力を強める企業にまで視野を広げ、現代社会を読み解く格好の書にまで格上げされているからだ。

 括目(かつもく)すべきは、通貨にとどまらず分配問題の本質に迫る要因と危機感を、「中間層」の崩壊という現象を軸に、縦横無尽に展開している点であり、その対象領域の広さに読者は驚かされるだろう。

残り864文字(全文1172文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事