教養・歴史書評

『国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来』 評者・平山賢一

    著者 岩村充(早稲田大学教授) 新潮選書 1400円

    国家、企業、中央銀行を分析、中間層崩壊=格差拡大を読み解く

     本書の課題は、「通貨とは何か?」の探求にとどまらない。グローバリズム時代に、外国企業の誘致や産業育成のため、減税や労働基準・環境基準緩和などを競う、いわゆる「底辺への競争」を繰り広げる国家と、人々が何に関心を抱くかについて支配力を強める企業にまで視野を広げ、現代社会を読み解く格好の書にまで格上げされているからだ。

     括目(かつもく)すべきは、通貨にとどまらず分配問題の本質に迫る要因と危機感を、「中間層」の崩壊という現象を軸に、縦横無尽に展開している点であり、その対象領域の広さに読者は驚かされるだろう。

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