教養・歴史書評

心地よい場所を改築する社会心理学からの提案=荻上チキ

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    『ステレオタイプの科学』(クロード・スティール著、藤原朝子訳、英治出版、2200円)は、僕にとって上半期ベストの一冊だった。著者も訳者も信頼できる研究者であり、昨今のステレオタイプ研究のエッセンスが、ぎゅっと詰まっている。読みやすいうえ、育児にも職場にも政治にも実用的である。

     あなたは、「ステレオタイプ」と「偏見」と「差別」の違いを説明できるだろうか。社会心理学の世界でステレオタイプは、あるカテゴリーの人に対して付随するイメージのことを指す。偏見は、ネガティブな他者への嫌悪的感情であり、差別とは他者への攻撃・排除につながる行動だ。感情レベルでの偏見、行動レベルでの差別に対して、認知レベルで生じるのがステレオタイプである。

     では、行動や感情につながらないステレオタイプは、社会的には無害かといえばそんなことはない。その一つが「ステレオタイプ脅威」。自分の属性は、人にこのようなステレオタイプを持たれているのだと思い知らされ続けることにより、行動が制約されてしまうことにつながる。

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