教養・歴史書評

心地よい場所を改築する社会心理学からの提案=荻上チキ

    『ステレオタイプの科学』(クロード・スティール著、藤原朝子訳、英治出版、2200円)は、僕にとって上半期ベストの一冊だった。著者も訳者も信頼できる研究者であり、昨今のステレオタイプ研究のエッセンスが、ぎゅっと詰まっている。読みやすいうえ、育児にも職場にも政治にも実用的である。

     あなたは、「ステレオタイプ」と「偏見」と「差別」の違いを説明できるだろうか。社会心理学の世界でステレオタイプは、あるカテゴリーの人に対して付随するイメージのことを指す。偏見は、ネガティブな他者への嫌悪的感情であり、差別とは他者への攻撃・排除につながる行動だ。感情レベルでの偏見、行動レベルでの差別に対して、認知レベルで生じるのがステレオタイプである。

     では、行動や感情につながらないステレオタイプは、社会的には無害かといえばそんなことはない。その一つが「ステレオタイプ脅威」。自分の属性は、人にこのようなステレオタイプを持たれているのだと思い知らされ続けることにより、行動が制約されてしまうことにつながる。

    残り937文字(全文1379文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    7月21日号

    もう働かなくても大丈夫? ベーシックインカム入門18 Q1 なぜ今、BIの議論が? コロナ禍で覆った「常識」 誰もが困窮する時代に転換 ■市川 明代21 政党に聞く 定額給付金とBI 斉藤鉄夫 公明党幹事長 「国民の理解が『一変』 BI検討が必要な時代」 玉木雄一郎 国民民主党代表 「所得制限は社会 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事

    ザ・マーケット