絵図の史料で読み解く 古今東西の歴史の実相=加藤徹
有料記事
「画像史料を駆使する図像学は、文献資料ではわからない歴史の実相を生き生きと甦(よみがえ)らせます」。杉原たく哉著『アジア図像探検』(集広舎、2200円)は、中国古代美術史を専門とする学者が古今東西の歴史を読み解く、ゾクゾクする本だ。
本書の前半部は、雑誌『月刊 書道界』に12年の長きにわたって連載したエッセーである。毎回500字で、数回ごとにテーマが変わる。文体は平明、図版も豊富で読みやすい。
連載初期は、古代から近世までの中国の絵図や画像石(石の壁面にさまざまな絵を彫ったもの)の拓本を取り上げる。神仙や妖怪の絵図を見ると、中国人の想像力の豊かさに驚く。孝行息子や貞女の「美談」を描いた絵図は、封建社会の残酷さを現代に訴えかける怖い絵でもある。
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週刊エコノミスト
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