新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 エコノミストリポート

福島の町職員が見たチェルノブイリ 「観光地化」に感じた伝承のジレンマ=喜浦遊

ゲート前の土産物屋ではガスマスクも売られていた 筆者撮影
ゲート前の土産物屋ではガスマスクも売られていた 筆者撮影

ツアーで巡った“ゴーストタウン” 「観光地化」に感じた伝承のジレンマ

 ウクライナの首都キエフからバスで2時間弱ほどで、チェルノブイリ原発から30キロ圏のゲートにたどり着いた。ここから先は居住禁止区域で入るには許可が要るが、道の両脇には土産物屋が並んでいる。外壁もごみ箱もベンチもテーブルも、アイスクリームの入った冷蔵庫も黄色に塗られ、「チェルノブイリツアー」と書かれた看板には三角の放射線マークまで添えられている。

 流れてくるポップな音楽にあっけにとられていると、通訳が「アメリカ向けの商売です」とささやいた。米国人を主な顧客にするツアー会社が運営しているらしい。チェルノブイリ原発事故を題材にした米放送局HBO製作のテレビドラマが昨年5~6月に放送されてヒットし、観光客が増えたのだという。想像を超える商業化を目の当たりにし、悲惨な事故から34年もたつと、こうも変わるのかと驚いた。

残り4059文字(全文4451文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事