週刊エコノミスト Online 不動産コンサル長嶋修の一棟両断
スラム化マンション(上) 急増の歴史/57
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時は1960年代後半。カー(自動車)、カラーテレビ、クーラー(エアコン)の3Cが「新・三種の神器」と呼ばれ、豊かな生活の象徴的存在だった。70年には住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)が、マンションの長期固定金利融資制度をスタート。71年には日本住宅公団(現・都市再生機構)などの供給で日本最大規模の住宅団地「多摩ニュータウン」(東京都多摩市など)への入居が始まった。
当時の公団住宅といえば、エレベーターのない5階建て、40~60平方メートルの2~3DKタイプが主流。今思えば、相当に陳腐である。とはいえ、夕飯後はちゃぶ台を片づけて布団を敷いて寝るといった、寝食同室の生活スタイルが一般的な時代からみれば、非常に先進的である。ダイニングキッチンや水洗トイレは最新設備だったし、「白亜の殿堂」とも呼ばれた庶民の憧れの住宅は、抽選倍率数十倍、時には100倍以上にもなった…
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