ロシア 不況と低成長が定着 資源依存から脱却できず=名越健郎
有料記事
「ロシアの過去10年の成長率は年平均1%だ。新興国として3〜5%の潜在能力があるのに、すっかり不況と低成長の構造に陥った。政府の対応は全く不十分だ」
財政問題の大御所で、大統領にも近いクドリン元財務相は7月、首都モスクワで講演し、政府を酷評した。クドリン氏はロシア経済の病根として、資源への依存体質や政府の機能不全、企業活動の大幅規制、人材の訓練不足を挙げ、教育や医療分野への大型投資を訴えた。プーチン体制が長期化する中、経済がすっかり閉塞(へいそく)状態になったことを認めている。
かたや、プーチン大統領も経済の低成長は認めるところ。成長を促進するため、18年に25兆ルーブル(約38兆円)を投入してインフラ整備やデジタル化など13の国家事業を推進する野心的な構想を発表し、4期目が終了する24年までに完了すると約束した。しかしその後、原油価格下落による財政難で計画完了を6年先送りして30年とした。7月の憲法改正の是非を問う国民投票が78%の賛成で成立したことで、プーチン氏は3…
残り794文字(全文1235文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める