マーケット・金融2020年後半 日本・世界経済大展望

マーケット予想 金融政策 出口へ備える米英中銀 バランスシート縮小も検討=河村小百合

 各国の主要中央銀行(中銀)はコロナ危機のもと、本年春先以降、危機対応の政策運営を展開してきた。国債等の買い入れ等による市中への流動性供給に加え、社債やCPの買い入れや特設の資金供給手段による企業の資金繰り支援などが展開されている。

 海外主要国の危機対応策に共通するのは、政府と中銀の役割分担が明確なことだ。その背景には、中銀はあくまで政府から独立した“銀行”にほかならず、財務の健全性維持は最優先で尊重されるべきで、さもなくば中銀に本来必要な、機動的な金融政策運営能力が損なわれ、通貨の信認が毀損(きそん)されかねない、という共通認識がある。ゆえに中銀が担うのはあくまで流動性の供給で、損失負担はあるとしても限定的なレベルにとどめ、主な損失は政府側が負う、という設計が貫かれている。

 ちなみにパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長は、6月10日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見で中銀の役割に言及し、「Fed(連邦準備制度)が有しているのはお金を貸す力であり、使う力ではない」「Fedが貸す力を前例のない規模にまで拡大できているのは、その大部分が議会と財務省からの財政面での支援が得られていることによる」などと述べている。

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