週刊エコノミスト Online闘論席

池谷裕二の闘論席

    撮影 竹内幹
    撮影 竹内幹

     貧困にはいくつかの種類がある。一般に貧困と聞いてまず思い浮かべるのは、物質的な貧困だろう。金銭や食料や物資などの不足だ。

     物質的貧困は幸福や健康や生産性を低下させる。その悪影響は古くから認知されており、近年では世界的なレベルで支援や福祉の体制が整い、人々の生活の質はずいぶんと高まった。

     一方、これだけ経済的に豊かな世の中になっても、なかなか改善されないのが「多忙さ」だ。時間の貧困である。アメリカの経済学者リチャード・イースタリンが「経済は過去数十年間で着実に増加したが、国民の幸福度はほとんど変わっていない」と時間貧困を指摘したのは40年以上前だ。現在に至ってもなお、物質的な豊かさは時間の豊かさに変換されてい…

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