マーケット・金融独眼経眼

高まる米国経済の財政依存=藤代宏一

 米国の包括的景気対策の導入が遅れている。予算規模や内容を巡る共和党と民主党の隔たりが依然大きく、交渉は暗礁に乗り上げた状態にある。またそうした中で、9月18日に米連邦最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が死去したことで、その後任人事を巡る両党の対立が生じ、一層の遅れが懸念されている。

 3月から5月にかけて導入された経済対策は、米国経済を力強くサポートしてきた。失業率が異例の高水準にあるにもかかわらず、個人消費が新型コロナウイルス感染拡大の前の水準を上回って推移しているのは、景気対策によって家計所得が増加しているからである(図1)。

 だが、7月末に減額のうえ延長された失業保険の上乗せ給付は間もなく予算が底をつくほか、中小企業の従業員給与を事実上肩代わりする給与保護プログラム(PPP)は年末に失効する。更に9月末をもって航空会社向け支援プログラムも終了するなど、財政政策は先細りする一方である。

残り635文字(全文1039文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月13日号

電力が無料になる日 NTT、東電、トヨタが拓く未来14 NTT、東電、トヨタの共闘 捨てる再エネは「宝の山」■金山隆一18 インタビュー 森島龍太・電池サプライチェーン協議会業務執行理事「電池は国家のエネルギー戦略そのもの」19 電池のリユースは自動車業界の命綱■藤後精一20 EV電池の送電接続こそ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事