高まる米国経済の財政依存=藤代宏一
米国の包括的景気対策の導入が遅れている。予算規模や内容を巡る共和党と民主党の隔たりが依然大きく、交渉は暗礁に乗り上げた状態にある。またそうした中で、9月18日に米連邦最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が死去したことで、その後任人事を巡る両党の対立が生じ、一層の遅れが懸念されている。
3月から5月にかけて導入された経済対策は、米国経済を力強くサポートしてきた。失業率が異例の高水準にあるにもかかわらず、個人消費が新型コロナウイルス感染拡大の前の水準を上回って推移しているのは、景気対策によって家計所得が増加しているからである(図1)。
だが、7月末に減額のうえ延長された失業保険の上乗せ給付は間もなく予算が底をつくほか、中小企業の従業員給与を事実上肩代わりする給与保護プログラム(PPP)は年末に失効する。更に9月末をもって航空会社向け支援プログラムも終了するなど、財政政策は先細りする一方である。
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週刊エコノミスト
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