週刊エコノミスト Online闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 高橋智子
撮影 高橋智子

 人工知能(AI)の活用の一つに「文章」がある。小説や詩を自動執筆するAIはずいぶんと腕をあげているが、現時点ではまだ作家が書いたほうが味がある。天気予報や決算報告のほうがAI作文の適性は高い。機械的なルールで筆を進めることができる分野は、しばしばヒトの執筆効率を超える。

 身近なところでは文章校正がある。誤字や脱字を指摘し、代替案を提示してくれる。一から書かせることはできずとも、すでに書かれた文章のチェックならばAIは得意だ。魅力的な代替表現を提案してくれるAIもある。

 AI内部は「数字」の演算である。数字演算が「文章」を扱うことができるのは、ひとえにコーパス言語学(言語をデータベース化する学問)の発展に負っている。手作業では扱いきれない大量のテキストデータを効率的に分析できるようになっただけでなく、巧妙に語句を数字に割り当てることで、四則演算すらも可能になる。「王-男+女=女王」といった具合だ。

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