週刊エコノミスト Online闘論席

感染拡大を防げもしないのに、日本はいつまで「マスク全体主義」を続けていくつもりなのか(小林よしのり)

    撮影 中村琢磨
    撮影 中村琢磨

     スウェーデンは世界で唯一、新型コロナに対してロックダウン(都市封鎖)などの強硬な抑圧策を採らず、結果的に集団免疫を達成することに成功したが、緩やかな制限にとどめた公式の理由は「憲法で国民の移動の自由は保障されている、子供の教育の機会は奪えない」というものだった。

     これは日本国憲法でも保障された基本的人権なのだが、立憲主義を知らない日本人は平然と憲法違反を行い、権力が法的根拠のない「移動の自粛」を求め、子供の教育の機会を奪った。

     ピーチ・アビエーションの航空機が緊急着陸して乗客を降ろした件も個人の移動の自由を奪っているが、明らかにマスク不着用が理由のはずなのに、それが原因ではなく「安全阻害行為」があったためとしている機長の判断根拠は、極めて怪しい。

     ピーチの一件以来、全国的にマスク全体主義が強化され、マスクをせずに外出する人がほぼ皆無という状態だが、新型コロナよりもはるかに多くの死者を出すインフルエンザの流行期には、日本人はこんな異常行動はとっていなかった。

     これから秋冬を迎え、コロナとインフルの同時流行を恐れる大衆は、マスク全体主義を続けていくのだろう。狂った「公」が浸透してしまう状況を「全体主義」という。移動の自由も、営業の自由も、呼吸の自由も奪う全体主義に対して、レジスタンスを続ける気力はまだまだ持続させなければならない。

     現在、新型コロナの感染経路で最も多いのは「家庭内」だが、家でマスクをして過ごすわけにはいかないだろう。外出先でも、飲食する際にはどうせマスクを外すのだ。だからいくらマスク全体主義が出来上がり、外出時の着用率がほぼ100%でも、感染は続いているではないか。

    (小林よしのり・漫画家)


     本欄は、池谷裕二(脳研究者)、片山杜秀(評論家)、小林よしのり(漫画家)、古賀茂明(元経済産業省官僚)の4氏が交代で執筆します。

    インタビュー

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    11月3日号

    コロナ株高の崩壊14 金利上昇で沈むハイテク株 11月にダウ5000ドル暴落も ■神崎 修一17 リスク1 米バブル 下落局面への転換点 ■菊池 真19 リスク2 GAFA 米IT潰し ソフトバンクも試練 ■荒武 秀至20 米大統領選 勝敗予想 バイデンの「雪崩的勝利」も ■中岡 望23 失業率が示 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事

    ザ・マーケット