新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

「緩く」遊びつつも深い ユニークな『老子』訳解書=加藤徹

 古代中国の人物・老子は、実在すら疑われるほど謎に満ちている。彼の著書『老子』は、現実社会の激動と一線を画し、内省的な思索をひょうひょうと説く哲学書だ。山田史生『哲学として読む老子 全訳』(トランスビュー、2500円)は、弘前大学教授で中国思想の専門家である著者によるユニークな訳解書だ。

 例えば、『老子』第80章で、素朴なユートピア「小国寡民」(小さな国家の少ない人民)を説くくだりを、著者はこう訳す。

「いろんな便利な道具があってもそれを使わない(ですむ)ようにさせ、ひとびとにみずからの生命を大切にさせ、遠くの土地へと移住しない(ですむ)ようにさせる」「ひとびとは年老いて死ぬまで(自国におちついて他国とのあいだを)往(ゆ)き来することはない」

残り534文字(全文858文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事