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週刊エコノミスト Online 闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 赤間清広
撮影 赤間清広

 年末にIT関連のビッグニュースが飛び込んできた。中国の研究者が、新型の量子コンピューターの研究成果を米科学誌『サイエンス』に発表したのだ。

 量子コンピューターといえば、2019年末にグーグルが「量子優位性」を達成して世界を驚かせた。量子コンピューターは量子の不確定性を利用して計算を行うため、正確無比を志向した通常のコンピューターとは作動原理が異なる。グーグルは、世界最速のスーパーコンピューターで1万年かかるとされる処理を、わずか200秒で実行してみせた。この偉大な記録を抜くとしたら、今やITの基礎研究で世界のトップを走り続ける中国だろうと目されていた。この予想が的中した形だ。

 驚いたのがその手法である。グーグルの量子コンピューターは超低温に保たれた超伝導回路を用いているのに対し、中国のそれはレーザーのビーム、つまり光を用いている。室温で動作するのだ。原理自体は11年にマサチューセッツ工科大学の研究者らによって考案されていたが、技術的な課題を解決することで、ようやく実現した。

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