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米長期金利は年末にかけ1・3%へ=渡辺浩志

 米国の長期金利(10年国債利回り)が上昇している。金利は景気を映す鏡であり、景気の良しあしが金利水準を決める。だが新型コロナウイルス禍以降、金融緩和で金利を低く抑えることが景気や株価の回復を促している。故に、いま金利が大きく上昇すれば、景気回復は頓挫し株価も下落しよう。

 では、米連邦準備制度理事会(FRB)は、どの程度の金利水準を適切と考えるのか。金融緩和の本質は、実質金利を自然利子率よりも低く抑えることにある。自然利子率とは景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない、景気に中立的な利子率のことだ。実質金利は名目金利から期待インフレ率(人々が予想する将来のインフレ率)を差し引いたもので、実質金利を自然利子率より低く抑えれば、投資や消費が刺激され、景気や物価を押し上げる。

 自然利子率と実質金利は、つかず離れずの関係にある(図1)。だが、金融緩和によって、実質金利は大きく押し下げられる。

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