週刊エコノミスト Online闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 新型コロナウイルスの感染拡大から1年がたった。当初の収束の予測時期を超え、現在でも猛威を振るっている。これほどの感染規模になれば収束を期待するのは無意味で、逆に、いずれ全員に感染すると考えるのがまっとうな見通しだろう。過去、コロナウイルスのいくつかはそうした経緯をたどった。

 典型的な例は19世紀後半に世界的に流行したコロナウイルスOC43だ。人類が初めて経験したコロナウイルスによるパンデミックと目される。当時の記録によれば、世界で100万人が死亡し、重症患者は高齢者に多かった。新型コロナウイルスと似ている。気になるのはその後の経緯だろう。

 OC43は何度も感染の拡大と縮小を繰り返した。しかし当初4%ほどあった死亡率は年々低下し、現在では毎冬に流行する「ただの風邪」となった。私たち成人の90%以上がOC43に対する抗体を持っている。

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