新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online 闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 ラマヌジャンマシン――。そんな名前のついた人工知能(AI)が2月の『ネイチャー』誌に発表された。イスラエル工科大学のカミナー博士らの論文だ。

 ラマヌジャンは実在の人物で、インドが生んだ夭逝(ようせつ)の異才数学者だ。彼は高等数学の教育を受けたわけではないが、なぜか毎日のように数学の定理が(本人の言葉を借りれば)女神からの啓示によってひらめく。ノートに記された4000ほど定理には、すでに知られている取るに足らない定理もあったが、未知の重要な定理も多く含まれていた。本人にはこれを数学的に証明する能力がなく、結局、周囲や後世の数学者たちが証明した。

 今回発表された新しいAIに偉大な数学者の名が冠せられている以上、どんな性能を持つかは推して知るべし。ラマヌジャンよろしく数学の定理を提唱するのだ。ただし証明はしない(だから厳密には、定理ではなく、予想である)。つまり、プロの数学者向けに「問題集」を作成してくるAIなのだ。中には数学者が長年にわたって証明に挑戦してきた(いまだに解決されていない)定理もあれば、いかにも証明が難しそうな未知の定理もあ…

残り340文字(全文815文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事