週刊エコノミスト Online闘論席

片山杜秀の闘論席

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 日本と韓国と台湾は、かつてまとめて“反共の防波堤”と呼ばれた。

 資本主義陣営の本丸、米国を、共産主義陣営の大国、ソ連と中国から守るための、東アジアにおける最前線という意味だった。

 1970年代、この構図が変わった。米中接近である。日本も慌てて中国との国交を回復し、台湾との国交を絶った。

 かといって、反共から容共に転換したわけではない。そのとき中ソの仲が悪くなっていた。主たる脅威は中国よりもソ連。巨大な中国を緩衝地帯にできれば、安心度が増す。それから十数年でソ連は崩壊し、東アジアの緊張はだいぶん緩んだ。しばらくはそう思われた。

 だが、歴史は繰り返す。その後、中国が経済的に大躍進した。世界は米ソ対立でなく、米中対立の時代に深入りしつつある。日本の菅政権も米国やフィリピン、インドと仲良くするのに必死だ。“反中の防波堤”への参加に国の生き残りを懸けているのだろう。

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