教養・歴史書評

小説家ならではの推理で読み解く「三国志」入門書=加藤徹

 宮城谷昌光『三国志入門』(文春新書、1045円)は、中国歴史小説の第一人者が、三国志の面白さと本質を初心者にも分かりやすく説き明かす、奥深い入門書だ。

 著者は英国の作家E・M・フォースターの言葉を引用する。

「物語はand(そして)で続いてゆくが、小説にはwhy(なぜ)という問いかけがある」

 古典小説『三国志演義』はもちろん、その基になった歴史書『三国志』にも「なぜ国(王朝)は興り、なぜ亡んでゆくのか」という問いかけが隠れている、と著者は指摘する。三国志の英雄たちの生き様も、小説的な「なぜ」という謎に満ちている。

『三国志演義』で悪役とされる魏(ぎ)の曹操は、史実でも後漢の王朝の権力を握った。曹操がその気になれば、後漢の皇帝を退位させ、自分が帝位につくこともできた。しかし彼はそうしなかった。なぜか。

残り547文字(全文900文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

8月23日号(8月16日発売)

電力危機に勝つ企業12 原発、自由化、再エネの死角 オイルショックを思い出せ ■荒木 涼子/和田 肇15 電力逼迫を乗り越える 脱炭素化が促す経済成長 ■編集部16 風力 陸上は建て替え増える 洋上は落札基準を修正 ■土守 豪18 太陽光 注目のPPAモデル 再エネは新ビジネス時代へ ■本橋 恵一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事