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週刊エコノミスト Online 闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

 自律的に討論する人工知能(AI)が発表された。IBM社のスロニム博士らが3月に『ネイチャー』誌で公開した。

 AIの得意分野には特徴がある。チェスや囲碁などはAIの独擅(どくせん)の場で、ヒトの入り込む余地はない。文章や表情から感情を読むようなタスクもAIの得手だ。これらのタスクは課題や目標が明白で、戦略の良しあしを評価しやすい。一方、翻訳や要約は苦手である。ヒトには毎時100本もの論文に目を通して要約する能力はない。しかし、時間をかけて作業するのであれば、その精度においてAIは敵ではない。

 今回のAIは幅広いトピックについて自律的にディベートをする。対話は言語理解と言語生成の二つのタスクを同時に行う必要がある。これまではAI専門家が個別に研究してきたため、両者を統合したAIはなかった。今回のAIは4億もの新聞記事を事前に学習し、習得した知識体系がインターネット辞書に有機的に連結されている。これによりトピックに関連した主張や証拠を紡ぎ、首尾一貫したストーリーを生み出す。事前に習得して…

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