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週刊エコノミスト Online 闘論席

片山杜秀の闘論席

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 政治の貧困がこの国を覆っている。日本は、昨年来の世界的疫病禍にあって、防疫の優等国として評価された時間も長かった。ところがその貯金を使い果たそうとしている。国民に対するワクチン接種率で国家が格付けられる段階を迎えたら、この国はたちまち劣等国だ。政治が時間を無駄にしていたからであろう。

 なぜ、かくも政治は貧しくなったか。根本は政治改革の失敗と思う。かつての日本では、政治家は優秀な官僚機構のロボットに過ぎず、与党がどこだろうと、官僚だけでこの国は回るとさえ考えられた。政治家にとっては屈辱的である。民主主義の原則に照らしてもおかしい。国民が選んだ与党の意のままに官僚が動くのが正しい民主政治だろう。

 かくて国民的支持も得つつ政治改革が進められた。それすなわち官邸主導である。与党のリーダーである首相の意向に省庁が忠実に従えば従うほど良い。副大臣とか特命担当大臣とか、行政を統率する政治家のポジションをやたら増やす。官僚の人事にも政治家が積極的に介入できるようにする。官僚を政治家のロボットにする逆転劇が進行したのが平成時代であった。

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