教養・歴史書評

子猫を拾い「ふたり旅」 ワルが善意を知る物語=孫崎享

×月×日

 一度、犬や猫を飼った者はその魅力に取りつかれる。私がディーン・ニコルソン著『ナラの世界へ』(K&Bパブリッシャーズ、1760円)を手にしたのも、表紙に可愛い子猫の写真があったからである。

 本の主人公は著者自身。スコットランド人で両腕にタトゥーが彫られ、あごひげがあり、酒に酔って乱暴をする、マリフアナを吸う。いわばワルと呼ばれる若者である。

 彼は友達と自転車での世界一周を企てるが、途中で友達が去り一人旅になる。そこへ山道で生後数カ月の子猫が必死に追いかけてくる。もうすぐ雪の降る季節である。拾い上げ、「ふたり旅」が始まる。猫を介してさまざまな人との出会いがある。

残り1007文字(全文1294文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事